湧き水探しがハードルになる人へ
名水を求めてツーリングに出るのは気持ちの良いものですが、初めての土地で本当に美味しい湧き水を探し当てるのは、思っている以上に手間がかかります。地図に載っていない小さな水源だったり、駐輪スペースが確保しづらい場所だったりして、せっかく走ってきたのに空振りに終わることも珍しくありません。
名水にこだわるあまり、コーヒーそのものを楽しむ時間が削られてしまっては本末転倒です。とくにこの趣味を始めたばかりの頃は、名水を見つけられないと一杯が完成しないような気がしてしまい、余計に気負ってしまうものです。
まずは名水探しを目的化しすぎず、身近な場所で手に入る水でも十分に一杯を完成させられるという発想を持っておくと、気持ちがぐっと軽くなります。水源探しに費やす時間を、道具を整えたり景色を眺めたりする時間に振り分けられるようになると、チェアリングそのものの余裕も自然と広がっていきます。
名水にたどり着けなかった日をただの失敗として終わらせないための、もう一つの選択肢を持っておきたいところです。
道の駅・コンビニで買える「軟水」の見分け方
道の駅やコンビニエンスストアの飲料棚には、産地や採水地を明記したミネラルウォーターが並んでいます。ラベルの成分表示を見れば、硬度の記載からある程度の軟硬を判断できます。
コーヒーの抽出には、ミネラル分の少ない軟水のほうが、豆本来の香りや酸味を素直に引き出しやすいと言われています。旅先で手に取った一本が硬水か軟水かを見極める習慣をつけておくと、思いがけず立ち寄った土地でも、狙い通りの一杯に近づけることができます。
同じ道の駅でも、地元産の水と全国流通の水が並んでいることがあり、見比べてみるとその土地ならではの選択肢に気づけるのも小さな楽しみです。ラベルを読み比べるという行為自体が、名水を探して林道を走り回っていた頃には気づかなかった、新しい旅の視点を与えてくれます。
値段や容量だけで選んでいた飲料コーナーが、このひと手間を加えるだけでちょっとした品定めの場所に変わります。
現地調達でも味を落とさない持ち運びのコツ
現地調達した水は、購入したペットボトルのまま持ち運べるのも利点です。ただし、直射日光の当たる場所やエンジン付近に長時間置いておくと水温が上がってしまい、抽出時の温度管理が難しくなります。
タンクバッグの中でも比較的熱がこもりにくい位置を選び、休憩のたびに残量を確認しておくと安心です。走行中の振動でキャップが緩んでいないかも、忘れずに確認しておきたいポイントです。
名水を探し歩く旅も魅力的ですが、こうして身近な水で妥協せずに一杯を仕上げる技術を持っておくことも、野外でコーヒーを続けていくための大切な備えだと思います。水そのものに特別な物語がなくても、淹れ方や過ごし方でいくらでも一杯の満足度を高められると気づいてから、水探しへの構え方が少し楽になりました。
次のツーリングでは、名水を探す日と、身近な水で気楽に淹れる日、両方の楽しみ方を使い分けてみようと思っています。荷物を減らしたい時期には、現地調達を前提にルートを組んでみるのも、身軽なツーリングにつながる一つの工夫です。

